◎成人の習慣性いびきの原因はまず(閉塞性)睡眠時無呼吸か予備軍
◎いびきの治療=(閉塞性)睡眠時無呼吸の治療
◎いびき治療の前には、睡眠時無呼吸の検査が必須
A いびきの検査
いびきは、鼻からのど迄の通りで空気がつまって発生する音です。(閉塞性)睡眠時無呼吸の症状がいびき。
① 耳鼻咽喉科的にどこがつまっているか(閉塞部位)を検査
特に口腔・鼻・舌・扁桃腺・のど・あご・くび。
視診・内視鏡検査・画像検査・鼻腔通気度検査を行います。
慢性副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎がある人は、鼻閉の傾向が強く、口呼吸が主体となりやすいです。口呼吸は通常の鼻呼吸に比べて、いびきをかきやすく咽頭も狭くなりやすいので、慢性副鼻腔炎やアレルギー性鼻炎が睡眠時無呼吸症候群を悪化させる場合もあります1)。また下顎隆起も舌根沈下を起こしやすくなり、口蓋垂や口蓋扁桃だけでなく、舌や口腔底もチェックする必要があります。
参考 1)睡眠時無呼吸の原因 旭川医科大学附属病院 耳鼻咽喉科頭頸部外科
② 眠気の評価を中心とした全身的な評価
簡易スクリーニング検査(慶友銀座クリニックは10台設置)を行い、睡眠時の呼吸障害の種類を調査。中等度~重症の場合、提携医療施設での一泊入院での脳波を含む検査(Full-PSG)を行います。提携医療施設には仕事終了後の午後6時過ぎから入院し早朝退院なので、仕事を休む必要はありません。
③ ①②を元に重症度と治療方針の決定。
B 治療
●閉塞部位の解消
薬物治療(鼻炎薬等)
レーザー・高周波ラジオ波の日帰り手術
●気道部位の拡大
物理的な拡大⇒口腔咽頭手術 顎顔面手術 肥満治療(外科手術含む)
装置による拡大⇒歯科マウスピース CPAP
C 慶友銀座クリニックの特徴
1:保険対応
2:スタンフォード大学での治療準拠
3:内科と耳鼻科と歯科との連携
4:遠隔CPAP管理
5:女性医師在籍
6:経験あるスタッフ
1:保険対応
効果のある治療は保険で十分です。国内及び海外での権威ある学会で認められた治療は、日本で保険治療(又は一部大学にて治験中)可能です。
2:スタンフォード大学睡眠外科の指針に準じた治療
レーザー手術:
CO2/半導体レーザー。当院は日本レーザー医学会認定施設で、理事長は日本レーザー学会認定専門医。
口腔咽頭手術:
旧来の手術法では効果は低く、米国で行われている「側方開大型の咽頭開大術」を提案し、10年前から関連病院にて行っています。
顎顔面手術:
欧米では睡眠外科といえばこれです。保険対応。日本大学歯学部口腔外科が日本のセンターです。手術症例数の約7割は当院からの紹介。
いびき体操指導:
「慶友銀座式いびき体操」は20万回再生中
肥満治療:
高度な場合は米国主流の考え方である関連病院での胃切除等の手術の検討
3:内科と耳鼻咽喉科と歯科による連携した治療
慶友銀座クリニックでは、睡眠時無呼吸を専門とする内科医と耳鼻咽喉科医と頭頚部外科医と顎顔面外科医と歯科医が在籍し、話し合いながら治療をしています。
いびき睡眠時無呼吸用マウスピース作成:
開業以来3000個以上作成。保険対応。マウスピース装着後のアゴの痛みの専門家(東京医科歯科大学顎関節治療部)も在籍
4:遠隔によるCPAP管理
定期フォローは予約の必要無し。CPAP登録650名(大手6社対応) 遠隔モニタリング対応90%以上 (2024年10月現在)
5:女性医師在籍
当院は、ほぼ毎日女性医師が診察しています。いびきや睡眠時無呼吸でお悩みの方で女性医師の診察が御希望の方はご指定下さい。勤務表はこちら
6:経験あるスタッフ
日本耳鼻咽喉科学会専門医9名在籍(内大学派遣:慶應7名 慈恵1名)
内科医師2名在籍(呼吸器科1名 糖尿病内科1名)
日本皮膚科学会専門医1名在籍
歯科医師7名(日本睡眠学会認定歯科医2名 顎顔面外科医2名 東京医科歯科大2名
昭和大3名 日本大1名)公認心理師1名
医療事務10名及び正看護師4名は全員正社員
(2024年10月現在)詳しくはこちら
口呼吸
寝ているときに口呼吸をしていると舌の根元が落ち込みやすくなります(舌根沈下)。鼻呼吸に比べて口呼吸は吸い込む空気の量が多く、大量の空気が気道を通ることで、いびきが起こりやすくなります。朝起きて口がかわいていると感じれば、口呼吸をしているかもしれません。舌根沈下を防ぐために、痩せることで舌自体も痩せて、舌根沈下しにくくなります。また鼻づまり(鼻閉)があれば、口呼吸をするしかありません。鼻づまりの原因である鼻中隔弯曲症や、花粉症を含むアレルギー性鼻炎や鼻茸を治療することで、口呼吸をすることがスムーズになります。
飲酒
飲酒することで舌やのどの筋肉がゆるんで、舌の根元が落ちやすくなったり、のどの奥の気道が十分に開きづらくなります。また飲酒により鼻閉が強くなり、舌も肥大し舌根沈下しやすくなるのも原因です。
疲れ
疲れがあると舌やのどの筋肉が緩んでしまい、舌の根元が落ちやすくなります。また体の回復を促すために、いつもより多くの量の酸素を体のに取り込もうとして、口呼吸をしやすくなります。
睡眠時無呼吸症候群
(閉塞性)睡眠時無呼吸は、仰向けになったとき舌根の落ち込みや、のどの奥の部分が狭くなることで気道を塞いでしまい、呼吸が一時的に止まっては再開するのを繰り返す病気です。呼吸が再開するときに塞がった気道を空気が無理に通る際にいびきが生じます。30代以降で、常時いびきがあると指摘された方は、まず閉塞性睡眠時無呼吸の症状としてのいびきの可能性が多いにあります。
A 散発性のいびき:ひどく疲れたときや飲酒後に限りいびきをかく
B 習慣性のいびき:寝ているときに、いつもいびきをかく
①単純いびき⇒希望であれば治療 加齢変化により②に移行
②(閉塞性)睡眠時無呼吸(OSAS)に伴ういびき⇒治療要
①と違い②は寝ている間の換気量低下(呼吸量の減少)や覚醒反応(体がねむっていても脳が起きた状態になる)があります。いびき症状があっても睡眠時無呼吸がない人がいますが、睡眠時無呼吸があっていびき症状がない人はいません。
快眠は誰もが望み、かつ健康の基本です。ところが「夜熟睡できない」「昼間眠くて困る」など、何らかの睡眠障害がある人は、全人口の20%にも及びます。特に睡眠時無呼吸症候群は、日本では全人口の2%、肥満者の多い米国では全人口の1割程度が睡眠時無呼吸症候群だといわれています。
[睡眠時無呼吸で見られる睡眠呼吸障害(SDB)の3種類
●閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)90%以上 ⇒当院の耳鼻科の治療
上気道が物理的に狭くなり、呼吸が止まる いびき必発
●中枢性睡眠時無呼吸(CSA)数% ⇒当院の内科(呼吸器)が治療
脳から呼吸指令が出なくなる、いびきほとんど無
●混合性(複雑)睡眠時無呼吸 数%⇒当院の内科(呼吸器)が治療
閉塞性睡眠時無呼吸は、鼻からのどに通る空気がつまることによって起こります。鼻がつまっていると、入り口からすでにおかしいことになります。そこでまず無呼吸を治療するためには、ファーストステップとして鼻のつまりがある場合鼻の手術(レーザーや高周波ラジオ波による下甲介減量術や鼻中隔矯正術)を行い、しかるのちにCPAP(Continuous Positive Airway Pressureシーパップ 持続陽圧呼吸療法)や、睡眠時無呼吸用マウスピース(スリープスプリント)の適用、手術(口腔咽頭周囲の手術・顎顔面外科)という方法が主流になってきています。
眠気(昼間の眠気)、充足感のない睡眠(寝た気がしない)、疲労、不眠などの自覚症状。また寝ていて起きてしまう、パートナーからの習慣性のいびきの指摘が診断に必要です。
高血圧・気分障害・認知能力の低下・冠動脈疾患・脳卒中・うっ血性の心不全・心房細動 Ⅱ型糖尿病と診断された場合も、睡眠時無呼吸の可能性があります。
検査は自宅で施行する簡易検査と一泊入院で施行する精密検査があります。簡易検査のメリットは簡便であること、安価であることです。その反面、簡易検査では脳波や眼電図、筋電図等を装着しない為、睡眠状態や正確な睡眠時間がわからないという、デメリットがあります。また、検査装置(センサー)を患者さんまたはご家族が行う為、センサー装着が不適切となることがあり、データ不良のリスクが増えます。簡易検査で中等症、重症の睡眠時無呼吸症候群が疑われる場合や、自覚症状が強い方や心疾患や脳血管障害等のリスクが高い方は、入院での精密検査をお勧めする事があります。また職業運転手の方は、昼間の眠気や覚醒を調べる検査が必要になることもあり、その場合は睡眠時無呼吸でも特に脳神経内科的な精査が必要です。このような場合は脳神経内科的に精査できる特別な専門施設をご紹介します。
慶友銀座クリニックでは、500名以上の患者様がCPAP治療を続けています。銀座・築地地区以外でも中央区内や他の東京都内含め多くの患者様にいらしていただいています。
(社)日本睡眠総合検診協会認定のCPAP療法士が当院には看護部長含め3名在籍しているので、来院予約なしでもその場での迅速解析が可能となり、又ネットを使った定期的な遠隔モニタリング含め厳密なCPAPによる呼吸管理も可能となりました。
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)の治療には持続陽圧呼吸療法(CPAPシーパップ)が現在の標準的な治療(ゴールドスタンダード)です。CPAPを発明したのは南半球のオーストラリアのシドニー大学医学部のグループです。なのでCPAPの機械は、特許の影響もあるのか、オーストラリアやニュージーランドが由来の会社が多いです。CPAPの送風ファンは当初日立製の掃除機を反対にして(吸引⇔排気)使いました。小型のCPAPを希望する患者様には、CPAPの中身は元々掃除機なので、小さい掃除機は使いにくいこともあるので、少し大きめのにしたらとお話しています。
CPAPによる治療は、自覚症状の改善や脳血管疾患系発症リスクの軽減につながる様々な報告があります。しかしCPAPは鼻の刺激、乾燥、喉の乾燥、口の渇き、空気圧が強くて苦しい、皮膚の炎症等が原因で治療困難になる場合も少なくありません。当院ではそのような場合、歯科での口腔内装置を提案することもございますので、お気軽にご相談ください。
2020年4月の診療報酬改訂より、CPAP遠隔モニタリング及び遠隔患者指導を組み合わせた治療が行えるようになりました。遠隔モニタリングシステムは、睡眠時無呼吸症の患者様の治療をサポートするためのクラウド型システムです。CPAP治療中の患者様でクラウド(遠隔)にて管理されている方が対象となります。ご使用中の器械の使用状況をクラウドサーバーで管理し、医療従事者がいつでも確認することができます。また在宅医療会社も器械の稼働状況を把握できるので的確なメンテナンスや対処法をお伝えできるようになります。受診されていない月のCPAPデータを当院にてインターネット上で毎月確認し、使用率が低かったり、使用時間が短い場合は、必要時担当医より指導する場合もあります。費用は、下記の遠隔モニタリング加算代が上乗せされますが、再診費用等はかからないので、費用負担はほとんど変わりません。
※遠隔モニタリング加算(150点)1割負担150円 2割負担300円 3割負担450円
※遠隔モニタリング加算は次の受診月にお支払いいただきます。
① 当院の治療体制
当院はいびき・睡眠時無呼吸に関連する診療科はすべて、専門医が診療にあたっています。耳鼻咽喉科、小児耳鼻咽喉科、気管食道科、頭頚部外科、呼吸器内科、循環器内科、一般内科、口腔外科、歯科です。
② 当院の治療実績(2020年夏)
(1)CPAPフォローアップ者数 500人弱/月
(2)睡眠時無呼吸用マウスピース作成 3000件(10年間)
(3)当院での日帰り手術(レーザー・高周波ラジオ波)
(4)当院在籍の慶應義塾大学在籍医師による慶應関連病院(慶應義塾大学病院・東京都済生会中央病院・新百合ヶ丘総合病院)での全身麻酔による手術(鼻・咽喉頭) 月2件
① 6社からの供給体制なのでCPAPマシンの選択肢が多い
CPAPは、大手6社からの供給体制により 日本で使用されているほとんどのCPAPマシンを処方可能なので、他院からのご紹介にもCPAPマシンの継続使用を含め対応できます。当院にてフォロー希望の患者様は、当院宛ての紹介状または前医でCPAP治療開始の元となった睡眠時ポリソムノグラフィーのデータをご持参下さい。(ご不明な点があれば、クリニック宛にお電話ください)。
② 予約無でもSDカード解析して、即診察(遠隔モニタリングもOK)
SDカードを持参していただければ、予約は無くても即座に解析します。(しかし、医師の診察の待ち時間の短縮のためなるべく予約してください)また遠隔地等にお住まいの患者様に対して、クラウドを用いた遠隔モニタリングにも対応しています。このように、働く人がストレスのないようにシステムを整備するのも、中心街に位置するクリニックとしての役目だと思っています。
詳しくは⇒慶友銀座クリニック理事長の「いびきサイト」
【当院で取り扱いの業者】
機器や消耗品等でご不明な場合は直接お問合せ下さい
CPAP業者
・アニモメディカル 東京都台東区浅草3-4-4 TEL03-5824-0636
・帝人ファーマ 東京中央営業所 東京都文京区後楽2-5-1住友不動産飯田橋ファーストビルTEL03-5802-6064
・フクダライフテック東京 東京都文京区小石川4-14-24 TEL03-3830-0626
・チェスト 本社営業部 東京都文京区本郷3-6-10 TEL03-3812-7251
・小池メディカル 東京千葉営業所 東京都葛飾区奥戸6-1-10 TEL03-3696-7101
・メディカルケア 東京事業部 東京都葛飾区小菅2-23-1 TEL0587-51-0211(代表)
・フィリップス 東京事業部 東京都台東区駒形1-12-24 TEL03-5806-7171
・フランスベッド メディカル六本木営業所 東京都港区六本木4-1-16 六本木ハイツ TEL03-5575-2180
在宅検査会社
・帝人ファーマ 東京中央営業所 東京都文京区後楽2-5-1住友不動産飯田橋ファーストビルTEL03-5802-6064
・日本睡眠総合健診協会 東京都文京区本郷3-42-5 TEL03-5802-7081
成人のいびきの原因の閉塞性睡眠時無呼吸の患者さんは糖尿病を合併しやすいです。ベースは肥満ですが、睡眠中の無呼吸、そして無呼吸から呼吸が再開することを何回も繰り返し、そのたびに交感神経が優位に働くことで血糖値を上昇させ、インスリンの分泌も増加します。それが続いてしまうと、インスリンが効きにくい状態に陥ってしまい、インスリン抵抗性になってしまうことが糖尿病を合併する原因となります。糖尿病になると、心臓の組織に栄養を与える冠状動脈の動脈硬化が進み、心筋梗塞や狭心症等の心疾患も更に増えていきます。最近の報告では、糖尿病の予備軍では心臓病のリスクが高く、睡眠時無呼吸を併発していることが多いですが、CPAPでの治療で心臓病のリスクが下がります。(参考J of AHA,2020 10 20-9(19))
高血圧やⅡ型糖尿病があると、中等度以上の睡眠時無呼吸症候群の頻度が上昇します。睡眠時無呼吸の頻度は高血圧のある人で2.3倍、糖尿病のある人で1.5倍、脂質異常のある人で1.5倍、メタボリックシンドロームのある人で2.2倍に上昇します。更に高血圧やⅡ型糖尿病があると、肥満がなくても睡眠時無呼吸の割合が高くなることが報告されました。肥満がない場合でも、糖尿病があれば睡眠時無呼吸に注意をしましょう。(参考 Sleep disordered breathing and metabolic comorbidities across gender and menopausal status in East Asians; the Nagahama Study:Euro Res J 2020)
慶友銀座クリニックでは、成人の方でいびきがある場合は、30歳以降はまず閉塞性睡眠時無呼吸へと移行していくことより、睡眠時無呼吸の検査をします。検査結果より、マウスピースやCPAPや、状態を見て軽減の目的でレーザー治療や全身麻酔による咽頭形成術や顎顔面外科的手術、減量術等を保険診療にて提供します。特に糖尿病のある患者様に対しては、当院は糖尿病治療の日本のパイオニアである東京都済生会中央病院と医療連携をしており、内科医師の派遣もしてもらっておりますので、内科的治療も含めた治療を提供します。いびきについて悩んでおり、治療について診察を受けたい患者様は当院へ気軽にご相談下さい。
腎臓は腰のあたりに左右対称にある握りこぶし程度の大きさの臓器で、血液を濾過することにより溜まった老廃物を体の外に排出して、血圧をコントロールして、骨や血液を作るのに採用するホルモンを出していると考えられています。
糖尿病性腎障害のある患者さんは、睡眠呼吸障害を含む睡眠障害は予後を悪化させる要因であり、腎障害も睡眠障害の悪化する要因です。睡眠の障害の腎の障害の影響では、いびきの原因である睡眠時無呼吸症候群も含まれる睡眠障害により、夜間の安静が阻害されてしまうことより、交感神経系の亢進や、夜間腎血流量の増加等、腎臓への負荷が増加します。腎障害の睡眠呼吸障害への影響では、水分の貯留や中枢神経系への影響や代謝性アシドーシス等より呼吸障害へ影響を及ぼします。呼吸障害以外は、交感神経系以外の鉄代謝を介して、睡眠障害を起こす下枝静止不能症候群や周期性四肢運動障害等にも影響します。糖尿病に対しても睡眠障害は相互に及ぼしあっているので、糖尿病を治療する上で睡眠障害の治療は、よりよい効果が期待できます。(参考 腎障害 月間糖尿病 2016/11 Vol8 No11)
また閉塞性睡眠時無呼吸の患者さんは、夜間の腎機能状態が正常者と異なっており、CPAP治療により正常化されるとの報告もあります。(参考 閉塞性睡眠時無呼吸症候群OSAS患者の夜間の腎機能とそれに及ぼすNasal CPAPの影響 日胸疾会誌29(5)1991,P573-7)
慶友銀座クリニックでは、成人の方でいびきがある場合は、30歳以降はまず閉塞性睡眠時無呼吸へと移行していくことより、睡眠時無呼吸の検査をします。検査結果より、マウスピースやCPAPや、状態を見て軽減の目的でレーザー治療や全身麻酔による咽頭形成術や顎顔面外科的手術、減量術等を保険診療にて提供します。いびきについて悩んでおり、治療について診察を受けたい患者様は当院へ気軽にご相談下さい。
高血圧の人の症状の中には、いびきがあり、その原因として睡眠時無呼吸症候群SASが考えられます。
睡眠時無呼吸の原因は咽頭・喉頭、所謂上気道の狭窄・閉塞によって起こります。閉塞性睡眠時無呼吸症候群は複数の疾患を合併する事が知られており、高血圧症は問題となる合併症の一つです。
原因)
睡眠中は自律神経のバランスが副交感神経が優位に働き血圧や心拍が減り、消火器の動きが活発になりますが、無呼吸が発生する事により交感神経が刺激され血圧が上昇してしまいます。高血圧患者の10%以上に閉塞性無呼吸症候群が存在しているとも言われ、降圧薬による治療が中々うまくいかない場合はこの閉塞性睡眠時無呼吸症候群がある可能性があります。
診断)
睡眠時無呼吸症候群の診断自体はポリソムノグラフィー(PSG)検査を行います。血圧は時間帯や場所で変動するので、血圧手帳等に血圧をしっかり記録する事が重要です。その上で生活習慣や嗜好、他のホルモン異常や心臓病がないかを血液検査やレントゲン、心電図検査等で確認します。
治療)
肥満や飲酒、鼻腔閉塞、薬剤等の増悪の原因となっている要素があれば改善を目指しますが、重症であればCPAPが治療の中心になります。CPAPが難しい場合や中等症以下であればマウスピースを装着する事もあります併せて血圧が高い場合は降圧薬を中心とした降圧療法を行います。
慶友銀座クリニックは水曜日の午後外来に東京都済生会中央病院(東京都港区三田)より循環器科の専門医師が派遣されており、対応いたします。
参考
1)循環器領域における睡眠呼吸障害の診断・治療に関するガイドライン
2)苅尾 七臣 睡眠時無呼吸症候群と高血圧 J Cardiol jpn Ed 2012 7 P32-7
心不全の人の症状の中には、いびきがあり、その原因として睡眠時無呼吸症候群SASが考えられます。
心不全は心臓がまさに弱っている状態です。心臓のポンプ機能が低下してしまい、体が必要な血液を送り出せなくなってしまった状態です。心不全の増悪因子の一つにいびきが症状の睡眠時無呼吸症候群があります。これは睡眠時の無呼吸により睡眠時の低酸素状態と覚醒反応が交感神経を刺激して心臓が休息できない状況に陥った状態です。又、上気道の閉塞により胸腔(肺・心臓が入っている密閉された部屋)が陰圧に引っ張られてしまい、同時に心臓にもダイレクトに負担がかかります。
不整脈の人の症状の中には、いびきがあり、その原因として睡眠時無呼吸症候群SASが考えられます。
閉塞性睡眠時無呼吸により生じる不整脈の機序には、急性の閉塞性睡眠時無呼吸のエピソードによる胸腔の内圧の低下や低酸素血症に伴う自律神経の変化、特に副交感神経が深く関与すると自律神経の変化(特に副交感神経)が関与する電気生理学変化があげられます。加えて、閉塞性睡眠時無呼吸が長時間持続することにより、低酸素血症や心筋の進展が生じて、不整脈源性の気質が形成されて、臨床的に肥満等の閉塞性睡眠時無呼吸に合併する病気も、不整脈になってしまう器質に寄与すると考えられています。
参考)心電図 Vol36 No1 p55-63,2016
睡眠呼吸障害(sleep-disordered breathing:SDB)は、睡眠中に異常な呼吸を示す病態の総称です。睡眠時無呼吸が代表的な疾患です。睡眠呼吸障害の 約半分が不整脈を合併し,無呼吸低呼吸指数(apnea hypopnea index:AHI)が30以上の重症のSDBでは,就寝中の不整脈の出現頻度が健常人の2~4倍とされています .洞徐脈・洞停止・房室ブロック等の徐脈性不整脈はSDBの約5~10%に合併し、頻脈性不整脈に関しては心房細動が重症SDBの約5%に合併して、健常人の約5倍のリスクとなっています。また心室期外収縮は25%に合併して、健常人の約2倍、非持続性心室頻拍は約5%に合併して約4 倍のリスクであると報告されています。通常の睡眠においてはnon-REM期に交感神経活動の低下や副交感神経活性の亢進による心拍数の低下、REM 期には末梢交感神経・副交感神経活動の亢進による心拍変動がみられて器質的心疾患を伴わなくても洞徐脈,洞停止やWenchebach型房室ブロック等の徐脈性不整脈が認められます。SDBによる反復する無呼吸と呼吸再開、低酸素血症と覚醒反応は急激な自律神経緊張の変動を介して伝導障害を悪化させて重症徐脈性不整脈を引き起こします.また、SDBは心筋虚血や心筋リモデリングを促進して不整脈発生の基質を形成します.中途覚醒・低酸素血症・アシドーシスによる交感神経活動の亢進や 自律神経のゆらぎは頻脈性不整脈の素因となって,自動能の亢進や撃発活動を引き起こし,リエントリーの成立も促進します.さらに無呼吸に伴う胸腔内圧の陰圧化とtransmural pressureは前負荷・後負荷を増大させ心筋の伸展を促進して心筋の機械的伸展刺激に伴う電気的フィードバックを介した関与も考えられています。再分極相に与える影響も示されていてSDBは不整脈の発生においてその基質,誘因,修飾因子に影響し,不整脈発生に関与していると推測されています。
参考文献:日本循環器学会 循環器病の診断と治療に関するガイドライン
脳卒中の人の症状の中には、いびきがあり、その原因として睡眠時無呼吸症候群SASが考えられます。
脳梗塞や脳出血を始めとする脳卒中は生活習慣や加齢による動脈硬化が原因として有名ですが、閉塞性睡眠時無呼吸がこれらとは別に原因となっていると言われています。
中等度以上の閉塞性睡眠時無呼吸があり、特に高齢者ではより危険性が高いと言われています。一過性脳虚血発作の患者さんでは半分以上に中等程度以上の睡眠障害があったとも言われています。併せて心臓血管疾患を合併している場合もあり脳卒中の危険性を増長させています。診断は閉塞性睡眠時無呼吸と同じ手順で診断を行います。
治療はCPAP治療が中心となり、これは心血管疾患・脳卒中の新規発生を抑えることが出来、特に重症無呼吸であれば死亡の危険性を下げる可能性があります。しかし、脳卒中の後遺症次第ではCPAPを続ける事が難しい場合もあります。他に血圧や他の生活習慣病の管理をしっかり行う必要があります。
虚血性心疾患の人の症状の中には、いびきがあり、その原因として睡眠時無呼吸症候群SASが考えられます。
大動脈疾患の人の症状の中には、いびきがあり、その原因として睡眠時無呼吸症候群SASが考えられます。
胸部大動脈解離の症例では、睡眠時無呼吸症候群の頻度が高いです。睡眠時無呼吸症候群に伴う交感神経系の亢進によって、夜間における高血圧が発症している事が影響しています。従来より挙げられている高血圧・糖尿病・喫煙等の危険因子に加えて、睡眠時無呼吸症候群の大動脈疾患への関与とその治療については、今後の検討が期待されます。
肺高血圧の人の症状の中には、いびきがあり、その原因として睡眠時無呼吸症候群SASが考えられます。
突然死の人の症状の中には、いびきがあり、その原因として睡眠時無呼吸症候群SASが考えられます。
睡眠時無呼吸症候群と突然死との関連については、乳児突然死症候群が有名ですが、成人における関連性は一定の見解が得られていません。いびきの症状をおこす閉塞性睡眠時無呼吸は、著しい低酸素血症をおこし、循環器系に多大の影響を及ぼして、致命的な合併症を引き起こす可能性が考えられます。無治療の重症閉塞性睡眠時無呼吸患者の経過を検討した報告によると、適切な治療群に対して、明らかに予後が悪くて、死亡例の大部分が循環器系の合併症であったとのことです。
参考)呼吸と循環 Vol43 10号 1995年10月 睡眠時無呼吸症候群と突然死
高脂血症の人の症状の中には、いびきがあり、その原因として睡眠時無呼吸症候群SASが考えられます。
先端巨人症の人の症状の中には、いびきがあり、その原因として睡眠時無呼吸症候群SASが考えられます。
先端巨人症は、アクロメガリーとも呼ばれています。額や鼻や顎や手足等の体の先端の部分が肥大し変形し、思春期まで発症すると巨人症になります。19世紀の終わりに海外において、先端巨人症に日中の眠気と、ひどいいびきを伴った睡眠呼吸障害を報告し、又窒息で死亡した女性の先端巨人症の方に原因は咽頭の組織の肥大が原因との報告がありました。100年以上前から海外ではいびきと先端巨人症について研究がなされてきましたが、メカニズムがよくわかっていませんでした。先端巨人症の頻度は多くはありませんが、診断されていない例も多いのではと考えられています。当院にも閉塞性睡眠時無呼吸にてフォローしている患者様を先端巨人症と院長が診断し、虎の門病院で手術をして、いびきと睡眠時無呼吸が軽減した患者様の例があります。
死亡率は1.6~3.3倍に死亡率が一般の方に比べて高くなり、平均の生存率が10年短いといわれています。その原因としては呼吸器の疾患が1/4を占めており、先端巨人症で認められている呼吸器の疾患は睡眠呼吸障害が最も典型であり、睡眠呼吸障害で多いのが閉塞性睡眠時無呼吸です。また先端巨人症に睡眠呼吸障害の合併は3割~7割です。先端巨人症のおける成長ホルモンの分泌過剰により咽頭周囲の粘膜や舌が肥厚し、睡眠時の吸気時に咽頭虚脱や上気道の狭窄を起こします。成長ホルモンが腎臓に働き、組織がむくみ(浮腫)、睡眠呼吸障害をおこすと考えられています。先端巨人症で睡眠呼吸障害をおこしているかたは、咽頭周囲や舌を含む軟部組織の増加があり、これが呼吸障害の原因となっています。先端巨人症は病気が発見されるまで7年~16年まで長く、その間に軟部組織が厚くなり固定化してしまいます。早期に発見し手術を含めた早期治療が睡眠呼吸障害を防ぐためにも重要です。
参考)
・睡眠呼吸障害に対する先端巨大症の手術治療の効果 Nippon Jibiinkoka Gakkai Kaiho 116 ,pp612-8,2013
・AASM睡眠障害国際分類(2)版診断とコード手引き 日本睡眠学会-診断分類委員会 医学書院2010, 東京
・Roxurg R: Notes on a Case of Acromegary Br Med J (2) pp63-5,1896
・Chappell WF: A case of Acromegaly with laryngeal symptoms and pharyngeal symptoms. J Laryng Otol (10)pp142-150,1896
・Chesson AL Jr: AASM/ATS/ACCP Practice parameters for the use of portable monitoring devices in the investigation of suspected OSA in adults. Sleep (26) :907-13,2003
・Stephen M : Mortality and Cancer Incidence in Acromegaly. Aretrospective Cohort Study.J Clin Endo-clinol Meta (83)pp2730-4, 1998
・Attal P : Endocrine aspects of OSA J Clin Endocrinol Metab (95) pp483-95,2010
いびきの原因となる(閉塞性)睡眠時無呼吸は、非アルコール性脂肪性肝障害の発症に強い関連性があるといわれています1)。アンケート調査では、非アルコール性肝障害の46%が閉塞性睡眠時無呼吸の症状に合致したそうです2)。閉塞性睡眠時無呼吸における肝障害の発生のシステムは、肥満因子とは別に夜間の慢性間欠性低酸素症が原因との報告があります3-4)。肝障害を伴う閉塞性睡眠時無呼吸合併の非アルコール性肝障害の患者の肝酵素の優位な低下が、半年間にCPAPを行ったことにより体重変化がないのにみられたとの報告があり、CPAP治療が閉塞性睡眠時無呼吸合併の非アルコール性肝障害への肝機能改善に寄与し及び閉塞性睡眠時無呼吸における夜間の慢性間欠性低酸素症が非アルコール性肝障害の肝機能低下に関係すると考えられています5)。
参考:
1)Tanne F et al,Chronic liver injury during OSA. Hepatology-41,pp1290-6 2005.
2)Singh H et al,Symptoms of OSA in patients with non-alcoholic fatty-liver disease;Dig Dis Science,(50)pp2338-43 2005.
3)Eltzschig HK,Ischemia & reperfusion from mechanism to translation Nat Medicine(17)pp391-401 2011.
4)Chiang AA:OSA & chronic intermitt. hypoxia(a review)Chin J Phy (49)pp234-43 2006.
5)Hirono et al:睡眠時無呼吸症候群が肝臓に及ぼす影響について 新潟市医師会報581 pp2-11,2019 8
逆流性食道炎の人の症状の中には、いびきがあり、その原因として睡眠時無呼吸症候群SASが考えられます。
頭痛の人の症状の中には、いびきがあり、その原因として睡眠時無呼吸症候群SASが考えられます。
いびきの原因となる閉塞性睡眠時無呼吸における頭痛の頻度は10~50%です。閉塞性睡眠時無呼吸の症候の一つに朝の頭痛があります。OSAS の症候のひとつに morning headache があり,発症の要因に低酸素血症や脳血管拡張、血圧上昇等がありますが結論には至っておらず、睡眠の質の低下や昼間の眠気の存在の可能性も考えられています。他に片頭痛や緊張型頭痛を起こしている場合もあります。閉塞性睡眠時無呼吸に併存する慢性頭痛には、朝の頭痛である「Sleep Apnoea Headache」以外の頭痛の存在にも注意が必要です。
参)臨床神経学 Vol54(12)2014:12 54.991-3 頭痛と睡眠障害
悪性腫瘍の人の症状の中には、いびきがあり、その原因として睡眠時無呼吸症候群SASがあります。
EDの人の症状の中には、いびきがあり、その原因として睡眠時無呼吸症候群SASが考えられます。
EDは日本語で勃起不全症といいます。性行時に十分な勃起を得られない状態の総称です。これに対してインポテンツは勃起が不十分なため満足な性行が行えない状態です。EDとインポテンツは、一般的には同義語ですが、詳細な定義が少し違います。EDはインポテンツに比べてより広い範囲での勃起障害を内包する考え方です。中折れのような状態も含む疾患の概念です。EDの原因として3つに分かれます。心因性(30から40歳代より;緊張・プレッシャー等の心理状態)と器質性(50歳代より:動脈硬化等)と混合性です。
睡眠時無呼吸の治療であるCPAP治療を行うことにより、勃起機能や夜間の頻尿及び抑うつ症状を独立に改善するという方向がギリシャからありました。
参考)Nikolaos A et al,The Use of CPAP Independently Improves Nocturia, Erectile Function, and Depression Symptoms in OSA Male Patients (an Observational Study)SN Comprehensive Clinical No.3 pp1575-85,2021
緑内障の人の症状の中には、いびきがあり、その原因として睡眠時無呼吸症候群SASが考えられます。
睡眠時無呼吸症の患者では,緑内障の有病率が正常な方の約10倍高いです。このように睡眠時無呼吸症候群の患者さんは緑内障になりやすいことが以前より知られていましたが、メカニズムはわかりませんでした。北海道大学は、特別なスイス製のコンタクトレンズ型眼圧計を用いることで、睡眠時無呼吸の患者の夜間眼圧変動の測定に成功し、そのメカニズムを解明しました。
息を止めることにより眼圧は上がります。睡眠時無呼吸の発作時は気道が閉塞して息が吸い込めなくなるため胸腔内の圧力が下がり眼圧も下がります。それと同時に血中の酸素も低下して、血中酸素飽和度SPO2も低下し、それにより脳内が低酸素状態になってしまい視神経の障害が引き起こされてしまいます。この研究により、たとえ眼圧が上昇しなくても低酸素状態があれば、視神経が障害を受ける可能性を示し、日本人に多いとされる正常眼圧緑内障の病態解明の一助になると考えられています。睡眠時無呼吸と診断された患者さんは、眼科で定期検査を受けて、正常眼圧緑内障の発症に注意する必要性があります。
参考)
Continuous intraocular pressure monitoring during nocturnal sleep in patients
with OSAS: Investigative Ophthalmology & Visual Science, Vol(57)pp2824-30,May 2016
ニコチン依存症の人の症状の中には、いびきがあり、その原因として睡眠時無呼吸症候群SASが考えられます。
なかなかやめられない喫煙(タバコ)は、ニコチン依存症という病気です。
疫学的な調査では、喫煙はいびきと閉塞性睡眠時無呼吸の有病率との関連が示唆されています。
1)受動喫煙への曝露は習慣性のいびきと単独の関連因子との報告もあり、また過去喫煙者は閉塞性睡眠時無呼吸のリスクの上昇を示していないので、喫煙による気道の炎症や障害により、タバコの煙の中に含まれる有害物質が刺激物としても作用するので鼻とのど(口蓋垂や口腔咽頭粘膜)が腫れて、空気が流れる空間を減少すると考えられております。
2)また喫煙により睡眠の質は悪化して中途覚醒も増加しよく眠れなくなります。
3)慶友銀座クリニックでは禁煙外来を積極的に行っております。
参考)
1)Sleep breathing disorders-Eur Res Soc Whitebook(Chapter23)
2)Punjabi NM:The Epidemiology of adult OSA Proc Am Thorac Soc 5,pp136-43,2008
3)Krishnan V:CHEST Vol146,pp1673-80,2014
過眠症の人の症状の中には、いびきがあり、その原因として睡眠時無呼吸症候群SASが考えられます。
頚椎症の人の症状の中には、いびきがあり、その原因として睡眠時無呼吸症候群SASが考えられます。
男性型脱毛症AGAの人の症状の中には、いびきがあり、その原因として睡眠時無呼吸症候群SASが考えられます。
睡眠中に分泌される成長ホルモンは髪の毛の生成にも関係し、いびきの原因となる閉塞性睡眠時無呼吸により睡眠が阻害されると成長ホルモンが十分に分泌されず、傷んだ髪の修復がうまくできず、健康な髪へと導くことができず、抜け毛等の原因になることがあります。韓国からの報告では、家族の中に脱毛のある男性は、閉塞性睡眠時無呼吸が男性型脱毛症AGAのリスクファクターになる可能性があるとのことです。
参考)Obstructive Sleep apnea Low Transferrin saturation levels, and male patte rn baldness,Inkyung Baik et al:1st Published 24 August 2018, International J o f Dermatology
うつ病の人の症状の中には、いびきがあり、その原因として睡眠時無呼吸症候群SASが考えられる。CPAPを使用しても昼間の眠気が強い閉塞性睡眠時無呼吸の患者は、 うつ病の合併を考慮すべきであり、うつ病患者の場合は抗うつ剤で非肥満となり閉塞性睡眠時無呼吸を合併させ、不眠に対して使用するBZ系薬剤により閉塞性睡眠時無呼吸がマスクされるという状況も考えられる。治療抵抗性のうつ病には、閉塞性睡眠時無呼吸合併を念頭におき、閉塞性睡眠時無呼吸とうつ病は両者がそれぞれに対して潜在的危険因子になりうる。
参考)行動医学研究 Vol23 2017-2「睡眠時無呼吸症候群とうつ病 両者の関連性を検討する」2018 23-2pp 58-62
性格障害の人の症状の中には、いびきがあり、その原因として睡眠時無呼吸症候群SASが考えられます。
ADHDの人の症状の中には、いびきがあり、その原因として睡眠時無呼吸症候群SASが考えられます。
小児のADHD(注意欠如 多動症)と関連が深い睡眠障害としては、閉塞性睡眠時無呼吸があります。
小児の閉塞性睡眠時無呼吸の有病率は1-4%で、新生児期から思春期まであらゆる年代で起こりうるとされます。アデノイドや口蓋扁桃の肥大が顕著となる3歳から6歳までが好発年齢であり、ADHD症状が明らかになる時期と似ています。ADHD児童の25%~75%に睡眠呼吸障害があるとの報告がありました。アデノイドや口蓋扁桃の肥大がある場合は摘出術が第一の選択で、約7割の症例に効果があるとの報告があります。摘出術によりADHD症状が軽減して、認知機能が改善できるそうです。
いびきをかく小児は4年後の多動性にリスクが高いとの報告もあり、いびきの有無はADHDを疑う場合は聴取する必要があります。また夜尿症があるばあいも閉塞性睡眠時無呼吸の可能性があります。
参考)SO1.3 ADHDと睡眠障害 診断治療戦略を考える;児童青年精神医学とその近近接領域Vol58-5,pp12-7
睡眠時無呼吸は慢性的な睡眠不足状態ともいえます。睡眠不足が続くと、認知機能は低下することは、日常生活でも体験されます。認知症の患者さんに睡眠時無呼吸の合併率が高く、重症な認知症には重症な睡眠時無呼吸の方が多く、重症の睡眠時無呼吸の方には重症な認知症が多いとのことです。
認知症と診断された睡眠時無呼吸の患者さんで、睡眠時無呼吸の治療により認知機能が改善したとの報告があるそうです。睡眠時無呼吸の治療は動脈硬化を予防又は軽減するので、血管性認知症の予防が期待できるとのこと。睡眠時無呼吸の場合は、脳の慢性の間欠的な低酸素を引き起こし、アルツハイマー型認知症の引き金とされるアミロイドβタンパク質の沈着を促進する可能性があり、睡眠時無呼吸の治療は、アルツハイマー型認知症やその前段階とされる軽度認知障害の発症予防の効果が期待されます。
参考
長寿医療研究センター 病院レター No.81 July22,2019
パーキンソン病の人の症状の中には、いびきがあり、その原因として睡眠時無呼吸症候群SASが考えられます。
鳥取医科大学と東京医科大学睡眠額講座の報告では、睡眠時無呼吸症候群に関してパーキンソンニズムによる上気道抵抗の増大による閉そくの要因や中枢性の呼吸障害によりパーキンソン病に合併することが考えられるとのことです。しかし睡眠時無呼吸症候群の合併に関する報告では中枢性無呼吸より閉塞性無呼吸のほうが頻度が多いそうです。パーキンソン病に合併する睡眠時無呼吸症候群では肥満等の原因ではなく、心疾患の合併頻度も少ないそうです。(参考 臨床神経 2014;54:987-90)
多系統萎縮症の人の症状の中には、いびきがあり、その原因として睡眠時無呼吸症候群SASが考えられます。
多系統萎縮症において呼吸リズムの異常や閉塞性睡眠時無呼吸・中枢性睡眠時無呼吸や声帯の外転麻痺等を含む睡眠関連呼吸障害は高率に合併し、突然死との関連があります。睡眠関連呼吸障害の存在下では夜間の自律神経系の変動に大きな影響を及ぼすので、喉頭ファイバーにより声帯や声門上部の運動の評価が必要です。(臨床神経 2014;54:1041-1043)
睡眠時無呼吸とてんかんの合併については、成人てんかん患者の約10%に閉塞性睡眠時無呼吸を合併したとの報告があります1)。閉塞性睡眠時無呼吸を合併しているてんかん患者の特徴は、てんかんの発症年齢(約30歳±20歳)が高い場合に閉塞性睡眠時無呼吸を合併しやすいとの方向もあります1)。また閉塞性睡眠時無呼吸を合併をしているてんかんの患者さんで、てんかんのコントロールが良好になるとの報告があります2-4)。また当院勤務の松延先生が新東京病院の勤務時代に、鼾と日中の眠気を主訴に受診した女性の患者さんに対してPSG検査を行い、てんかんの波形を確認したという報告をしました。携帯型PSG検査ではなく、入院による脳波も含めたPSG検査の重要性について言及しています5)。閉塞性睡眠時無呼吸はてんかんの増悪因子です。てんかんと診断された患者様で、閉塞性睡眠時無呼吸の可能性のある方、つまり閉塞性睡眠時無呼吸の主症状である「いびき」を指摘されている方は、ぜひ一度睡眠時無呼吸の検査をしたほうがよろしいと思います。減量やCPAPやスリープスプリントや必要時外科的治療を含めた睡眠時無呼吸の治療を行うことにより、てんかんのコントロールが良好になる可能性があります。
参考
1)Raffaele M et al,OSA in a clinical series of adult epilepsy patients; Epilepsia (44)pp836-40,2003
2)Malow BA et al OSA is common in medically refractory epilepsy patients;Neulogy (55) pp1002-7,2000
3)Sonka K et al,Seizures in sleep apnea patients occurrence Sb Lek(101)pp229-32,2000
4)P B Duell,Role of sleep apnea in epilepsy in elderly people Lancet (356)pp162,2000
5)奥諭介 松延毅 他 PSG でてんかん波形がみられた1例 口咽科 29 (2) pp251-5,2016
歯ぎしりの人の症状の中には、いびきがあり、その原因として睡眠時無呼吸症候群SASが考えられます。
口臭症の人の症状の中には、いびきがあり、その原因として睡眠時無呼吸症候群SASが考えられます。
新型コロナの人の症状の中には、いびきがあり、その原因として睡眠時無呼吸症候群SASが考えられます。
閉塞性睡眠時無呼吸OSASの患者は、医療機関において治療を受けている同年代の人たちと比較して、新型コロナウィルスCOVID19に罹患するリスクが8倍との報告を米国ノースウェスタン大学のマシュー先生が報告しました。OSASは、入院RISKの増加とも関連し、呼吸不全をおこすリスクは2倍と報告されています。日本呼吸器学会では新型コロナワクチンの優先対象となる基礎疾患に睡眠時無呼吸SASを明示すべきとの見解を示し、厚労省の定める優先接種対象の基礎疾患に正式にSASが加えられました。
Ref)Matthew BM et al. ,OSA and Risk of COVID19 Infection, Hospitalization and Res.Failure. Sleep Breath2021 Jun25-2.1155-7
新型コロナウィルス感染症COVID19対策に伴う「外出自粛中によい睡眠を確保するための5つのヒント」が江戸川大学睡眠研究所(千葉県流山市駒木474)より発表されました。
COVID19感染時で、患者がウィルスを排出している状態では吸入外気にもウイルスが存在する可能性があり、マスクはNonVentで人工鼻をつけ、人工鼻に続いて呼気ポートをつけることが必要です。
参考)COVID19感染症と睡眠時無呼吸 日本睡眠学会46回抄録集 S11-5 PP116
睡眠の最も大切なことは、脳を休めることです。睡眠中は様々なホルモンが分泌されて、日中疲れた身体と心を効率よく修復し、睡眠自体に免疫力を高める役割もあります。睡眠医学で有名なスタンフォード大学の西野先生の報告(株式会社ブレインスリープ オンライン調査)によると、新型コロナウィルスCOVID-19 感染疑いの方に睡眠時無呼吸の疑いがある方が非常に多いのは、睡眠の習慣や生活習慣の乱れも原因となる睡眠時無呼吸により、睡眠の質が低下して、睡眠の質の低下によって免疫力が低下してしまい、COVID-19の感染に導いた可能性を示唆されています。また睡眠時無呼吸の必発症状であるいびきにより、口呼吸になります。鼻のフィルター機能やエアコン機能を介さずに、気道に空気が直接入るため、細菌やウイルスに感染するリスクが高まります。口が乾燥して唾液が少なくなると、唾液の浄化作用や殺菌作用が得られず、歯周病菌等の細菌の温床になります。特にCOVID-19のレセプターが舌を含む口腔内に豊富にあるので、唾液による殺菌作用が減弱してしまうのです。
~睡眠時無呼吸が原因となって従業員が事故を起こした場合の企業の責任について~
企業は睡眠時無呼吸に罹患した社員が事故を起こしてしまうと、「使用者等の責任」民法715条を問われる場合があります。社員が睡眠時無呼吸と診断されて責任無能力者であるという判断がなされても、「責任無能力者の監督義務者等の責任」民法714条により損害賠償責任を負わらないといけない場合も起こりえます。重大な事故が発生することによっての経営の危機を回避するためにも、企業としては積極的に睡眠時無呼吸対策を取り組むべきです。また睡眠時無呼吸スクリーニングとその事後の措置に取組むことにより、「監督義務者がその義務を怠らなかったとき又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、この限りではない」民法714条という条文によって企業の責任の一部が免責される可能性もあります。
積極的に睡眠時無呼吸スクリーニングを実施すべき対象者
1)過体重(BMI>25以上)日中の強い眠気、頭痛、夜間頻尿等の睡眠時無呼吸が疑われる症状を有するもの
2)過去の交通事故歴を有する人
3)運転業務。監視業務、交代勤務者、危険物取り扱い従事者(日中の眠気を問わない)
4)高血圧、糖尿病、虚血性心疾患、脳卒中等の生活習慣病罹患者、既往者
参考)
・三好 規子他:職域における睡眠時無呼吸症候群(SAS)の早期発見・早期治療の意義 日本職業・災害医学会会誌第66巻第1号pp1-10,2018
・労働災害と社会的問題について;日本職業災害医学会会誌 Vol51No.4p257-61 虎ノ門病院呼吸器科 成井浩司
ガン(癌)といびき
いびきの原因となる睡眠時無呼吸の簡易の検査を、1990年より地域住民約400人に対して行い、20年間フォローしたデータがあります。中等度以上の睡眠時無呼吸症候群では、全死亡が4.2倍、癌による死亡3.4倍で、癌の罹患が2.5倍と有意に高いデータがあります。脳血管障害も3.7倍です。睡眠時無呼吸が悪影響を及ぼす心血管の疾患の死亡と罹患では有意差がでなかったそうです1)。
スエーデンのウプサラ大学のAndreas Palmらは、6万人を対象に閉塞性睡眠時無呼吸とがんの関係について検討しました。癌発症群は非発症群に比べてAHIとODIが有意に高かったとの報告がありました。ODIを比較すると肺がんと前立腺がんと悪性黒色腫の患者は、ODIが有意に高かったとのことでした。未治療の閉塞性睡眠時無呼吸は癌の危険因子であり、閉塞性睡眠時無呼吸の患者を治療する際はがんの可能性も視野に入れる可能性があると示唆しました2)。
Reference
1)Marshall N et al.Sleep Apnea and 20-Year Follow-Up for All-Cause Mortali ty, Stroke, & Cancer Incidence and Mortality in the Busselton Health Study Coh ort, J. of clinical sleep med.JCSM 10-4 pp355-62,April15, 2014
2)Abstract No.OA2290;Palm, Andreas presentation;Cancer prevalence is increased in OSA the population-based discovery study
下顎隆起(TM)は、下顎骨の舌側面における骨質の過剰発育にて生じます。下顎骨隆起により舌が後方に圧排され上気道が狭小化する閉塞性睡眠時無呼吸の症例が報告されています。
1)また当院勤務の佐藤先生(日本大学歯学部講師)より英語論文にて下顎隆起の切除は閉塞性睡眠時無呼吸の治療の有用性を示唆されています。
2)東京都小平市の国立精神神経医療研究センターからの報告では、いびきの原因となる閉塞性睡眠時無呼吸の治療に対するスリープスプリントの効果は、下顎隆起がある症例よりも下顎隆起のない症例のほうが治療効果が高いとの報告がありました。下顎隆起は閉塞性睡眠時無呼吸の原因となり、スリープスプリントの治療をする場合は、下顎隆起を診察する必要があるとの報告でした。
3)慶友銀座クリニックでは、いびき及び閉塞性睡眠時無呼吸を主訴とする患者様の中で毎月約1名~2名の患者様に下顎骨隆起が見つかり、佐藤先生が診察し所属の日本大学歯学部付属病院にて局所麻酔にて切除手術をしており経過良好です。
参考
1)A case of obstructive sleep apnea syndrome possibly
caused by torus mandibularis
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjoms/56/9/56_524/_pdf/-char/ja
2)Efficacy of torus mandibularis resection in a patient with OSA: A case report,J of Oral and Maxillofacial Surgery, Med, and Pathology
file:///C:/Users/O/Downloads/Efficacy%20of%20torus%20mandibularis%20resection.pdf
3)下顎隆起が閉塞性睡眠時無呼吸症候群に与える影響について 福本裕他 国立精神神経医療研究センター病院 日本睡眠学会46回定期学術集会Q102p238
生活習慣病の中でも、特に重要な肥満・糖尿病・高脂血症・高血圧症はそれぞれ別の疾患ですが、これらの各疾患の初期徴候は実は関連しあいながら一人の患者さんに重複して認められることが多く、このような患者さんでは心筋梗塞や脳血管障害等の動脈硬化性疾患を起こす頻度が高いことがわかってきました。以前はこれらの病態を表現するのに「死の四重奏」ともいっていましたが、現在はメタボリックシンドロームとも呼ばれています。睡眠時無呼吸症候群の人は、肥満や糖尿病や心臓病や脳血管障害を合併していることが多く、死の四重奏に睡眠時無呼吸症候群を加えて「死の五重奏」ともいわれています。英国の報告では高血圧・高脂血症等のメタボリックシンドロームを有する睡眠時無呼吸症候群の患者さんに対してCPAP治療を3か月行った結果、血圧低下(収縮期及び拡張期)・総コレステロール低下・中性脂肪低下・糖尿病指数低下(HbA1c低下)との報告があります。
(参考 CPAP for the Metabolic Syndrome in Patients with Obstructive Sleep Apnea; Sharma SK et al, N Engl J Med 365,pp2277-86,2011)。
このように、睡眠時無呼吸を治療することで、四重奏を軽減できたり、予防することも期待できます。
甲状腺疾患の人の症状の中には、いびきがあり、その原因として睡眠時無呼吸症候群SASが考えられます。
甲状腺機能低下症に伴う閉塞性睡眠時無呼吸のシステム 1)
①肥満 | 基礎代謝の低下による |
②上気道の浮腫や舌の肥大(巨大舌) | ムコ多糖類の沈着や蛋白の血管外漏出 |
③咽頭筋のミオパチー(筋肉の病気) | 浮腫やムチンの沈着による上気道の筋緊張の低下 |
④低酸素及び高炭酸ガス換気応答の低下 | 呼吸中枢と末梢化学受容器の感受性の低下 |
⑤気道の圧迫 | 甲状腺腫瘍(低下に関わらず) |
甲状腺機能低下症と閉塞性睡眠時無呼吸の共通な症状 2)
いびき・肥満・日中の眠気・倦怠感・無気力・性欲低下・頭痛
閉塞性睡眠時無呼吸患者における甲状腺機能スクリーニング
2)によると、閉塞性睡眠時無呼吸を疑われる患者さんに対しては一律に甲状腺スクリーニング検査を行うのではなく、甲状腺機能低下のハイリスクグループに行うべきであるとのことです。
甲状腺機能低下のハイリスクグループとは、まず甲状腺が肥大している人・60歳以上の女性・甲状腺機能低下の症状がある人(上記参照:いびきや肥満や日中の眠気や倦怠感等)・閉塞性睡眠時無呼吸の治療で改善が低い人です。これらの患者様に対して、慶友銀座クリニックではいびきの原因である閉塞性睡眠時無呼吸の原因として状態をみながら、甲状腺検査を行うことがあります。閉塞性睡眠時無呼吸の治療を行うことで甲状腺機能異常の改善が見込まれ、また甲状腺を治療することで閉塞性睡眠時無呼吸の改善が見込まれます。甲状腺の病気があり、いきびのある方は、是非慶友銀座クリニックへ御受診下さい。状態をみて甲状腺を触診して甲状腺機能検査(FT4/TSH等)を行い、場合によりエコーによる精査もいたします。疾患がある場合は、当院所属の頭頸部外科医がその後診察し当院によるフォローか、関連病院の東京都済生会中央病院や慶應義塾大学病院や専門病院(伊藤病院)に紹介します。
1)睡眠時無呼吸を契機に、発見された小児橋本病症例 小児耳 37-1 pp45-51,2016
2)甲状腺ホルモンと閉塞性睡眠時無呼吸(甲状腺ホルモンと関連疾患)p185-91,日本甲状腺学会雑誌
スマホを併用して睡眠中の呼吸を記録して、呼吸音の特徴を分析してノイズ処理を組み合わせて閉塞性睡眠時無呼吸の予想のモデルの構築を試みた報告があります。
参考)Evaluating Prediction Models of Sleep Apnea From Smartphone・Recorded Sleep Breathing Sounds,SW C et al.JAMA Otolary H-N Surg
鼻呼吸障害はいびきや閉塞性睡眠時無呼吸を増強させる重要な因子です。旭川医科大学のHPでは、睡眠時無呼吸の原因として鼻副鼻腔疾患(アレルギー性鼻炎・慢性副鼻腔炎)があげられています。閉塞性睡眠時無呼吸の原因となる覚醒中の上気道の狭窄に関連して、耳鼻咽喉科・歯科口腔外科疾患の中に口蓋扁桃肥大やアデノイド肥大や、小顎症とともに慢性副鼻腔炎と鼻中隔弯曲症があげられます。
1) 鼻副鼻腔疾患により手術をうけたひとの約50%に睡眠時無呼吸があり、術後は改善したとの報告があります。
2) 慢性副鼻腔炎患者の約15%に、閉塞性睡眠時無呼吸があり、手術により眠気などのQOLが改善との報告があります。
3) 就眠中は鼻で呼吸することが多く、それができないと口が開き、舌が自由になり、それにより気道が塞がれやすくなる可能性があります。また鼻が詰まると、睡眠時無呼吸の治療であるCPAPやスリープスプリント自体の効果が減弱します。
1)Diagnosis and Treatment of Sleep Apnea Syndrome:Sleep Apnea Syndrome Trigger s Life-Threatening Disorders During SleepAkira Murata 日医大医会誌2007; 3
(2)
2)鼻 疾 患 患 者 に お け る睡 眠 時無 呼 吸 の検 討 耳鼻臨床85;10
3)Quality of life in patients with Chronic Rhinosinusitis and Sleep Dysfunctio n undergoing endoscopic sinus surgery (A pilot investigation of comorbid OSA;Jeremiah A. Alt et al J. JAMA Oto - HNS,pp873-81,2015
頭蓋骨の中にあるはずの小脳や脳幹の一部が、頭蓋骨の出口の大後頭孔を通り、頸椎の脊柱管の中に脱出/陥入した状態をキアリ奇形といいます。キアリ奇形は、脱出した脳組織や合併する疾患により1-4に分類されます。1型は小脳扁桃だけが脊柱管に下垂するもので、後頭骨の低形成が原因です。頭痛や頸部痛が頻度が高いです。
小児期の0-2歳では嚥下障害や胃食道逆流やいびきや睡眠時無呼吸が認められます。
慢性のせき(慢性咳嗽)の新たな原因疾患としての閉塞性睡眠時無呼吸症候群 :CPAP(持続性陽圧呼吸)が閉塞性睡眠時無呼吸(obstructive sleep apnea:OSA)合併気管支喘息患者の夜間症状を改善させることが1988年に報告されました.慢性咳嗽において逆流性食道炎GERD の関与は大変重要であり、CPAPによる 逆流性食道炎 の改善から咳嗽も改善に至る症例は多く存在すると考えられています。一方2007 年に慢性咳嗽の原因疾患として OSA の関与が疑われる症例を初めて報告されました.この症例報告より逆流性食道炎の治療では改善しない慢性咳嗽患者,あるいは逆流性食道炎が存在しない慢性咳嗽患者で,これまでのガイドラインに従った治療では改善しない難治性慢性咳嗽患者の中に OSA例が潜在しており,CPAP導入後に咳嗽が改善する症例が存在している可能性があることが示唆されています。
CPAP がOSASの慢性咳嗽を改善する機序はいまだ不明ですが,GERDの改善以外にも睡眠中の気道閉塞やいびきが気道炎症を誘起し咳嗽を誘発している可能性が推察されています。他の報告でも,CPAPが気管支喘息の夜間症状を改善する機序について,いびきや気道閉塞が喘息の夜間症状のトリガーとなっており,これらがCPAPにて改善した可能性があると考察されています.気管支喘息と慢性咳嗽と疾患は異なっていますが,その症状の発症の機序とCPAPが有効である点において共通点であると考えられています.しかし,CPAPの咳嗽改善の機序については未だ十分に解明されておらず,今後この分野でのさらなる検討,研究が期待されています.
参考文献:日呼吸器誌 4(4). 2015
過眠とは夜しっかり寝ているのに、日中に強い眠気が生じて起きていることが困難になる状態です。過眠を引き起こす原因として、いびきの原因となる睡眠時無呼吸症候のような睡眠の質を悪化させるものと、過眠症があります。過眠症の代表的なものにナルコレプシーがあります。ナルコレプシーは日本人有病率は0.16%です。13-15歳にピークがあります。ナルコレプシーの代表的な症状は、睡眠発作と情動脱力発作と睡眠麻痺/入眠時幻覚です。ナルコレプシーはHLA(ヒト白血球抗原)と密接な関連を持ち、口腔内粘膜を用いたHLA検査は診断補助として有用です。睡眠検査室での検査は、PSG検査後に、反復睡眠潜時検査を行います。 治療は薬物療法と睡眠衛生指導です。ナルコレプシーの患者さんは肥満傾向にあり、いびき症状がある睡眠時無呼吸の合併があることがあります。
メルボルンのRMIT大学のMerinda Jackson先生は、閉塞性睡眠時無呼吸があると記憶力に問題が生じ、うつ病発生にも関連性があると報告をしました。
参考)RMIT University; Sleep apnea cerates gap in life memories,Science Daily31 Jan 2019
アルコール依存症の患者さんには睡眠障害をおこしているかたもいます。アルコールは急性的に入眠をはやめます。
しかしアルコールがアルデヒド(覚せい物質)に代謝される約4時間後は目が覚めてしまいます。つまり寝酒をすると寝付きはよいが、後半は眠りが浅くなり、それにより睡眠時間が減少します。またアルコールは浅い眠り「レム睡眠」を抑制するので、反動で朝方に悪夢をみることがあります。
寝酒は10日間ほどで耐性が生じ、入眠の効果が減弱し、解消しようとしてアルコール量が増えて、アルコール依存症になり、アルコール依存性睡眠障害になります。アルコールは気道の筋肉を緩めて気道を狭くしたり、毛細血管を緩めて鼻閉をおこしやすくしたり、飲酒によりいびきの原因である閉塞性睡眠時無呼吸の症状が悪化してしまうことがあります。
参考)医療サイト 朝日新聞アピタル、不眠の原因になる寝酒。悪夢・睡眠時無呼吸の引き金にも 2019年11月10日
神奈川県のバス会社に勤務する運転手が、路線バスを運転中に大きな事故を起こしました。この運転手はいびきの原因となる睡眠時無呼吸と診断されており、CPAP等をつけるような指導を行われていたようですが、どうもつけていなかったようです。
読売新聞オンライン「睡眠障害を自覚しながら路線バス運転 7人重軽傷」2023年6月30日