「頭頸部」とは、脳と眼球を除いた首から上のすべての領域を意味しています。
この頭頸部がんはさらに口唇・口腔がん(舌がんもこのなかに含まれます)、咽頭がん、喉頭がん、鼻・副鼻腔がん、唾液腺がん、および甲状腺がんに分けられています。
その他に、耳や頭蓋底のがん、首の位置にある食道がんなどもあります。
これらはすべて耳鼻咽喉科の診療領域です。
さて、これらの頭頸部がんはそれぞれのできた部位によってその性格が大きく異なり、症状やがんの悪性度(たちの悪さ)などもさまざまです。
さらにそれぞれの部位は働き(例えば、食事をする、呼吸をする、声を出す、聞くなど)も違うので、それぞれのがんに対する治療の方法も全く異なってきます。
一方で、この頭頸部という領域は狭く、隣り合う部位と密に接していることから、がんは容易に隣の部位に進展していきます。
例えば、口腔がんは容易に鼻副鼻腔や咽頭に広がっていきます。
従って、1つの部位のみにとどまった治療には限界があります。また口腔がんをはじめ頭頸部がんはしばしば首のリンパ節に転移しますし、がんという性質上、全身へも転移します。
そのため、がん自体の治療と同時に、その転移に対応した治療を行わなければなりません。
さらに、がん治療に当っては抗がん薬も使いますし、患者さんの持っている他の病気のことも考えた全身的な管理も必要です。
以上のことから、頭頸部がんの治療を行うためには、頭頸部全領域に関する専門的知識と共に全身的な医学的知識が要求されてきます。
そういった意味で、すべての頭頸部がんの治療の重要な担い手は耳鼻咽喉科医であり頭頸部外科医です。
これらの病気が心配な方は、耳鼻咽喉科医・頭頸部外科医にご相談ください。